顧客の要件を正確に聞き出すためのアプローチとは?
顧客から新しい案件の相談を受けて
あなたは相手の担当者と面談することになりました。
競合会社に何社声掛けをしているかは分かりませんが
いわゆる営業コンペへの参加ですね。
あなた・・・
「本日は、お忙しいところご面談のお時間を頂きまして
ありがとうございます!」
顧客側・・・
「それでは、今回ご相談したい新しいプロジェクトについて
概要をお話しますね」
というような流れで、あなたは顧客側の担当者から
新規プロジェクトの概要について説明を受けることになります。
顧客側は、何社かの声掛けした会社に
新しい案件の概要を平等にかつ正確に伝えるために
伝える内容をある程度固めて、あなたにお話することと思います。
場合によっては、要件定義書やRFP(提案依頼書)を
準備している顧客もいらっしゃることでしょう。
では・・・
ここから先は一つのたとえ話で進めさせて頂きます。
例えば、あなたは、顧客側の担当者との面談で
「今回のプロジェクトは、Aという業務とBという業務を
お願いしようと思っています。
この要件で御見積を算定してご提示ください。」
(話を単純化するためにこんな会話にしました)
というような要件を聞いたとします。
そこで、あなたは、AとBの業務について
会社に帰って見積算定を行なう訳ですが
もし仮に・・・
Aの業務については、「αの方法」と「βの方法」の2つがある場合
あなたはどうしますか?
また、もし仮にあなたの過去の経験上では、「αの方法」がメジャーで
多くのプロジェクトは「αの方法」で行われてきていたとしたら・・・。
あなたは過去の経験上、「αの方法」で見積算定を致しますか?
そうです。
多くの営業マンは「αの方法」で見積算定をしてしまいますが
ここで顧客の要件にもう一歩突っ込んだアプローチを掛けてください。
具体的には
「Aの業務にはαの方法とβの方法がありますが
2パターン御見積致しましょうか?」
と聞いてみることです。
すると
「では、αのプランとβのプランの両方を見積もって頂けますか?」
とかなりの確率で顧客側は言ってくるはずです。
「了解しました。
αのプランとβのプランの2つの御見積を算定させて頂きます」
と言う感じで
顧客からさらに細かい要望を引き出すことができたなら
あなたは提案した通り、2つのプラン別の御見積書を
提示することができます。
たとえ話が非常に単純だったので
当たり前の話のように感じたかもしれません。
しかし・・・
あなたは実際の面談場面で
このようなアプローチが毎回できているでしょうか?
実際の場面では、顧客からたくさんの要件を説明されて
それを整理するのが精いっぱいで
なかなかその場でこういったアプローチができていないケースが
多いのではないでしょうか?
見積書の提示方法の工夫で他社と差をつけよう
先ほどの例では、あなたの会社は今回のコンペでAという業務について
「αのプラン」と「βのプラン」の2プランを提示することになりました。
こんな単純で当たり前のような話なのですが、少し想像してみてください。
もし、競合他社は「αのプラン」のみを見積算定してきたら・・・
さらに・・・
もし、あなただけが「βのプラン」の見積書も提示し
さらに「αのプラン」と「βのプラン」の違いや
2つのプランのメリット・デメリットを分かりやすく解説した提案書を
別途提示したら・・・
あなたの会社は、間違いなく競合他社よりも
頭一つ分リードできたことになります。
顧客側の担当者からの印象も
他社より良くなることは言うまでもありません。
場合によっては
「ここまでいろいろ提案してくれるのは、御社だけです」
と評価されるかもしれません。
さらに、ひょっとしたら顧客側の担当者が
「やっぱりβのプランも考慮に入れて検討しよう」
という考えになった場合、あなたの会社は
その後のコンペの展開をかなり有利に進めることができます。
この場合、各社から見積書が出そろった後に、顧客側の担当者は
「すいません、度々の見積依頼で申し訳ないのですが
Aの業務についてはαのプランとβのプランの2つについて
再度御見積をお願いします。」
という感じに
他の各社に改めて2つのプランの見積依頼を掛けるはずです。
最終的には、声掛けしたすべての会社から
同じ条件に揃えた見積書が提示されてくる訳ですが
あなたの会社は、このコンペにおけるリード役になれる訳です。
コンペのリード役になれるということは・・・
- 顧客へインパクトを与えることができる
- 他にもいろいろ提案してくれるかもしれないという好印象を与えられる
- 顧客との接触機会が他社よりも増えてコンペに有利になる
などのたくさんのメリットが生まれます。
こういった競合他社との小さな差を積み重ねていくことが
コンペで連勝するための秘訣へとなっていくのです。
まとめ
見積書の提示となると、営業マンは
「少しでも価格が安い方が良い」
と考え、そればかりに頭の思考が偏りがちですが
実際には、見積書の提示は価格だけが勝負ではありません。
面談の際のちょっとした聞き出し方
顧客の視点に立ったアプローチ
あなたからの積極的な提案など
見積書の提示方法にも様々な戦略が隠されています。
そして、そういったアプローチを実践することによって
顧客との距離を一気に縮めることが可能になります。
さらに、あなたが行なったアプローチによる見積書の提示と
それに連動した提案書を作成し提示することで
その効果はさらにアップしていくことでしょう。
ぜひ、あなたも、顧客の要件について複数のプランの選択肢がある場合は
要件の選択肢があることを積極的に顧客へ提案していきましょう。
そして、顧客の要件をより正確に把握することができた会社が
コンペでの勝利に一番近い存在であることを頭に入れておいてくださいね。