見積書をただ単に作成するのは御用聞き営業マン
営業マンであるあなたは
顧客の担当者から新しいプロジェクトの見積依頼を受け
顧客と面談することになりました。
顧客から新しいプロジェクトの業務内容について説明を受け
あなたは見積作成のために様々な業務の条件について確認をします。
顧客から
「業務Aは、○○の方法で進めて
業務Bは、△△の方法で進めて
業務Cは、システムを構築して
業務Dは、・・・」
というような感じで、営業マンであるあなたは
各業務内容について漏れの無いように話を聞き
見積作成のための要件を正確に把握していきます。
あなたは顧客から言われたことを丁寧にメモして
新しいプロジェクトの全体像を掴んでいくことでしょう。
顧客からの説明を一通り聞いた後に、あなたは言います。
「それでは、業務A、B、C、Dについて
ご要望の条件で御見積を算定させて頂きます!
御見積の提出期限はいつでしょうか?」
「では、来週の水曜日までにお願いします」
「了解しました!」
このような顧客とのありがちな会話が
営業現場では交わされていることと思います。
この流れは別に問題がある訳ではないのですが
残念ながらこのままでは、あなたは
「顧客の言われたことしかやらない営業マン」
になってしまいます。
「顧客の言われたことしかやらない営業マン」では
他の競合他社の営業マンと横並びの営業マンになってしまいます。
つまり、あなたがコンペで勝てる営業マンになるためには
何か違ったアプローチが必要になってくる訳です。
そこで、ぜひ顧客にもう一歩突っ込んで
あなたから顧客に聞いて欲しいことがあります。
それは「顧客の予算感」です。
言われたままの見積を算定して後日提示するのではなく
「顧客の予算感」を聞き出してみて
相手の「フトコロ状態」を探っていきましょう。
「顧客の予算感」を聞き出すことによって
顧客との距離がグッと縮まることもありますし
予想していなかった思わぬ展開になってコンペで勝つこともあります。
それでは、もう少し具体的にお話ししていきます。
顧客から予算を聞き出して積極的な提案をしていこう!
顧客から新しい案件の見積作成依頼を受けた際は
できれば「顧客の予算感」を聞き出した方が良いという話をしました。
言われた条件をそのまま会社に持ち帰って
ただ単に見積書を作成して提示するのは
「顧客の言われたことしかやらない営業マン」
だということでしたね。
それでは「顧客の予算感」を聞き出す具体的な方法は
どのようなアプローチなのでしょうか?
まずは顧客に聞き出すタイミングからお話します。
一番良いタイミングは
面談中に顧客が新しいプロジェクトの要件を一通り説明し終わって
その後の諸条件の質疑応答も終わった後のタイミングです。
顧客がすべての要件をあなたに説明して
顧客が話したいことをすべて出し切った後のタイミングです。
黙っていたら
「それでは御見積の提示を宜しくお願いしますね」
と顧客から言われて面談は終わってしまいますので
顧客が一息ついたタイミングで、あなたから質問を投げてみましょう。
「今回のプロジェクトのご予算は、おいくらぐらいをお考えですか?」
こんな感じでストレートに聞いてみます。
思いのほか、顧客から具体的な金額を聞き出せることが
多いことに驚くと思います。
「そうですね、今回は100万円程度の予算で収めたいと考えています」
というような感じです。
また、場合によっては
「今回の見積を参考に来期の予算取りをしたいのです」
というような内部事情を話してくれるケースもあります。
では、仮に
「今回は100万円程度の予算で収めたい」
と言ってくれたケースについて考えてみましょう。
この場合に考えられるパターンは3つです。
- 見積金額と、顧客の予算感がだいたい合っている
- 見積金額の方が、顧客の予算感を大きく上回る
- 見積金額の方が、顧客の予算感を大きく下回る
「見積金額と、その予算感がだいたい合っている」場合は
特に問題は無いので
「了解しました!
なるべくご予算に応えられるよう御見積を算定させて頂きます」
と言って会社に帰って見積を算定すれば良いでしょう。
問題は「見積金額の方が、顧客の予算感を大きく上回る」場合です。
特に、ざっくり頭の中で見積もっても
ゼロが一桁違うぐらい顧客の考えている予算感が少額である場合です。
この場合は、まだ見積算定をしなくても
顧客の予算と大きくかけ離れていることが想定されるので
その場ですぐに顧客に正直ベースで現実を伝えておきましょう。
顧客から予算感を聞いたのに、あなたが後日提示した見積額が
「顧客の予算感」よりゼロが一桁高かったら
顧客からの印象はだいぶ悪くなってしまいます。
正直に、そして丁重に
「その予算では厳しいと思います」
と面談時に顧客にお伝えするのが礼儀です。
そして、逆に
- 顧客が考えている予算だったらどんなことが代わりにできるのか
- 何か別の方法だったら予算に収まる方法はないか
- 何と何の業務を削れば予算に収まるのか
など、顧客にとって有益な代替案や妥協案を提案していきましょう。
すると、顧客から新たな要件を聞き出すことができたり
顧客にとっての譲れない妥協点を聞き出せることがあります。
場合によっては、予算を検討し直すこともあるでしょう。
そして、あなたは、新しく聞き出せた要件をもとに
予算に応じた見積書と提案書を作成して提示すれば良いのです。
もし、競合他社の営業マンはここまで顧客にアプローチできていなかったら
営業コンペであなたの会社が、顧客から選ばれる確率はかなり高くなります。
また、先ほどの例で
「見積金額の方が、顧客の予算感を大きく下回る」
場合でも、同様に顧客に正直ベースで伝えていきましょう。
顧客は心理的にお得感を味わうことになります。
また、余裕のある予算でどういったオプションを追加提案できるかを
試しに顧客に丁寧に伝えてみてください。
思わぬ追加業務が掘り出されることもあります。
ぜひ顧客との面談では
こういった正直ベースでの会話を心掛けてください。
間違っても、ゼロが一桁違うほど顧客の予算が多い場合に
「顧客の予算がたくさんあるから、見積金額を上増ししてやろう」
なんて考えてはいけません。
後々、あなたの会社の信用を失うことになります。
まとめ
顧客が新しいプロジェクトを企画する場合は
多くの場合、予算をある程度決めて進めるケースが多いです。
特に金額が大きいプロジェクトほど、その傾向があります。
あなたは顧客との面談時に、そのことを念頭に置いて、ぜひ顧客に
「今回のプロジェクトのご予算は、おいくらぐらいをお考えですか?」
とストレートに聞いてみてください。
中には全く教えてくれない顧客もいるでしょうし
本当の予算より少なめに言ってくる顧客もいるかもしれません。
ただ、多くの場合、予算について質問をすることで
これから顧客が企画しようとしている新しいプロジェクトについて
さらに詳しい情報を入手できることと思います。
そして、あなたが入手できた新しい追加情報をもとに
競合他社とは一味違う提案書と見積書を提示していきましょう。
こういった顧客とのやりとりが、あなたを営業コンペでの勝利に導きます。
思い切って、顧客の「フトコロ状態」に入り込むことで
顧客の役に立てることができるのです。